このブログは、知識ゼロの特許初心者だった私が、OLとしてフルタイムで働きながら弁理士試験に一発合格した経験をもとに書いています!!
弁理士試験の論文試験が最大の山場と聞きました。短答試験の対策と並行して論文試験の対策を進めるのが不安です…。
今回は、弁理士試験の論文試験対策について解説します♥
- 論文試験対策でもインプット(暗記)が重要な理由
- 出題パターン別対策
- 論文試験対策の具体的な勉強法・スケジュール
- 短答試験対策と論文試験対策の両立方法
この記事を読むことで、論文試験の対策方法・具体的なスケジュールがわかり、合格までの道筋をイメージしやすくなると思います。
弁理士試験の論文試験(必須科目)概要
まずは、論文試験(必須科目)の概要のおさらいです。
選択科目については下記の記事をご覧ください。
短答試験・口述試験についても知りたい方は下記の記事をご覧ください♥
試験日程
日程:6月下旬~7月上旬
合格発表:9月中旬
試験科目
「特許・実用新案」「意匠」「商標」の3科目です。弁理士試験用法文が貸与され、参照しながら回答することができます。条文の知識の応用力を問われる試験です。
時間は、「特許・実用新案」が2時間で、「意匠」・「商標」・選択科目はそれぞれ1.5時間です。
合格基準
科目の得点の平均(配点比率を勘案して計算)が、原則54点以上であること。ただし、47点未満の得点の科目が一つもないこと。
問題例
弁理士試験の問題は特許庁HPで公開されています。
合格率
特許庁によると、28%(令和5年度)でした。例年25%前後で推移しています。
初心者は誤解しがち!論文試験対策でもインプット(暗記)が重要な3つの理由
「論文試験対策は短答試験対策と違ってアウトプットの量がモノを言う」、そう思っている方が多いと思います。
論文形式なんだから自力で文章を構築できる必要があり、そのためにはたくさん問題を解いて、自分の考えを論文として表現することに慣れなければならないと思いがちですよね。
私自身、受験勉強を始めた時はその言葉を信じて効率的な勉強ができていませんでした。
なので皆さんには先にお伝えしておきたいです。
論文試験対策でも、いや論文試験対策こそインプット(暗記)が重要です!!
その理由は下記の3つです。
- 論文試験は自分の意見を論ずる試験ではないから
- 点数を積み重ねるために加点ポイントを抑えることが必要だから
- 同じ論点の問題が毎年繰り返し出題されるから
詳しく説明していきますね。
論文試験は自分の意見を論ずる試験ではないから
「論文試験」と略して呼ばれることが多いですが、正式には「論文”式”筆記試験」。この”式”が入っているように、弁理士試験の論文試験は自分の考え・意見を論ずる論文ではありません。
論文の形式をとっているだけで、そこにはいわゆる自由論文とは異なり、明確な正解と採点基準が存在します。
論文試験の採点方式は公にされていませんが、私のバイブルであるLEC宮口先生の著書「働きながら一発合格! 弁理士試験究極の攻略法」では、主な採点基準として加点・減点・地雷原があるだろうと書かれています。
地雷原とは、問題に記載されている前提を覆してしまうなど、題意把握を大きく失敗する致命的なミスのことだそうです。
つまり、論文試験で高得点を取るために必要なことは、地雷原・減点を避けつつ、加点を積み重ねていくことであって、自分の意見・考えを上手に表現することではないということです。
そのため、文章力・表現力を鍛えるためにアウトプットの機会を増やすことはそれほど重要ではないと考えます。
点数を積み重ねるために加点ポイントを抑えることが必要だから
論文試験で高得点を取るために必要なことは、地雷原・減点を避けつつ、加点を積み重ねていくことと書きましたが、では加点を積み重ねるためにはどうすればよいのでしょうか。
それは、「設問における加点ポイントを正確に把握し、そのポイントを深く理解していることを採点者にアピールする」ことだと思います。
では加点ポイントはどこかというと、出題者・採点者にとって、受験生が理解しているかを試したいところであると考えられ、大きく分けて下記の2つが挙げられます。
- 設問に対する結論
- 根拠として記載する条文や判例の中身
例えば、設問に対応する答えを一言で簡潔に書くところが最初の加点ポイント!
次に根拠となる条文の要件1つ1つ、または判例の要旨の重要なキーワードが加点ポイント…のような形です。
アウトプットを繰り返す作業で、このような加点ポイントを自力で見極められるようになろうとすることは無謀で、かなりの時間がかかってしまうと思います。
つまり設問パターンごとの結論の導き方、条文や判例ごとに落としてはいけない加点ポイントに絞って勉強し、暗記していくことが効率的なのです。
ちなみに加点ポイントの暗記が完了した後は、「これが書ければ加点なんですよね?わかってますよ!」と、採点者に自分の理解の深さをアピールするように自信をもって解答を書けるようになり、楽しくなってきます。
太鼓の達人で流れてくる音符を叩くが如く、加点ポイントをドヤ顔で解答用紙に書いていくことで自然に加点が積み重なっていくイメージです。
論文試験の解答用紙は、解答用紙であって解答用紙ではなく(笑)、採点者への「自己アピール用紙」ですよ♥
同じ論点の問題が毎年繰り返し出題されるから
加点ポイントを暗記していくのが効率的と書きましたが、条文や判例の重要なポイントはまだしも、設問パターンごとの結論の導き方なんて暗記できるのか、そもそもパターンなんてあるのかと不安になりますよね。
短答試験では過去問と全く同じ枝が出る可能性がありますが、論文試験では過去問と全く同じ問題が出題されることはないと思います。
しかし、「論点」で考えると類似の問題が何度も繰り返し出題されているのです。
例えば、特許法における「補正の手続」や意匠法における「関連意匠」、商標法における「周知商標」など…同じテーマや判例が形を変えて何度も出されています。
その種類はそれほど多くはなく、基本のいくつかのパターンを暗記することで太刀打ちできます。
そして多くの予備校の講義ではそれらの頻出論点に対し、設問パターンごとの結論の導き方を解答の「型」として示し、「型」への当てはめ方を指導してくれます。
そのため、頻出テーマを中心に、
- 解答の「型」
- 「型」への当てはめ方
- 関連する条文・判例の重要なキーワード
をインプット(暗記)することで加点を積み重ね、論文試験で高得点を取ることができます。
また、前に論文試験の採点基準には、加点の他に減点・地雷原が存在すると書きましたが、この加点ポイントをしっかり暗記することが減点・地雷原を避けることにつながるとも思います。
どこが加点ポイントか自信を持てない問題に出会った場合、解答用紙が埋まらないよりは自分の考えで埋めた方が得点に結びつくのではと考えて、問題に直接関係のないことや根拠の曖昧なことまで書いてしまいしまいがちです。
これが減点、特に地雷原につながりやすいと考えます。
最初にも説明したように、「論文試験は自分の意見を論ずる試験ではないこと」を肝に銘じ、自信をもって加点ポイントだと思えること以外は書かないことが得策です。
特に論文試験という自由な解答方式ではどうしても主観が入ってしまいやすい状況ですので、一文一文について客観的に見て意味のある文章のみを記載しているかを確認しながら書き進めることが重要です。
弁理士試験出題パターン別の対策ポイント
上述したように論文試験には、いくつかの問題パターンがあり、それに応じた解答パターンもあります。問題のパターン別に、どんなポイントに重点を置いて暗記すればよいかをお伝えしますので参考にしてください。
趣旨を述べよ
近年は、趣旨のみを問う問題は出題されておらず、「趣旨に言及しつつ…」などといった問われ方をされることが多いです。
例えば、令和3年度の【問題Ⅰ】1(1)が該当します。
出願Bが審査に付された場合に、出願Bの特許請求の範囲に記載された発明イが乙に
令和3年度弁理士試験論文式筆記試験問題
よる出願Dとの関係において拒絶理由を有するかについて、関連する特許法上の根拠条文の規定を必要な範囲で引用した上で、国内優先権の制度が設けられた趣旨に必要な範囲で言及しつつ、設問の事実をあてはめて結論付けよ。
趣旨は法文集を見ても全く記載されていないので、事前にしっかりと暗記していないと全く記載できないという事態に陥ることもあり得ます。
しかし、特許法204条、実用新案法64条、意匠法77条、商標法85条、…これら全ての条文の趣旨を暗記するのは不可能です。
趣旨問題で出題されやすい条文は、その法域で重要な条文ですので(上記の令和3年度の例でも特41条国内優先権に関する趣旨でした)、ヤマをはって暗記しましょう。
▼趣旨問題で出題される可能性の高い条文はこちらの記事で触れています。
趣旨を暗記する時に重要なポイントを2つお伝えします!
条文の趣旨の中には非常に長いものもあり、丸暗記するのは不可能に近いです。また、一言一句正確に回答しなければ得点できないというものでもないので、重要なポイントを落とさないように気を付けさえすれば細かいところまで丸暗記する必要はありません。
それを踏まえて、趣旨の暗記で重要なのは次の2つのステップで暗記することです!
- ストーリーで覚える
- キーワードを覚える
趣旨をストーリーで覚える
まずは趣旨の大きな流れ(ストーリー)を抑えることで大枠を捉えることができます。また趣旨のストーリーには、いくつか典型的なパターンがあるため、それらに当てはまるものについてはパターンを暗記することで頭に入りやすくなります。
パターンについては例えば下記のようなものがあります。
法目的からスタートするパターン
例1)特29条1項 特許要件 の趣旨
「特許法は発明を奨励して産業の発達に寄与するために、発明公開の代償として特許権を付与する(1条)。そのため、出願にかかる発明がすでに公開されている発明と同一であるなら、特許権を付与する必要はない。むしろそれまで自由に使われていた技術が独占権の対象となり、産業の発達を阻害する。そこで新規性を特許要件とした。」
例2)特44条 分割出願 の趣旨
「公開の代償として一定期間独占権を付与するという特許制度の趣旨を踏まえると、特許出願に含まれる発明の単一性の要件を満たさない発明等についてもできるだけ保護の道を開くべきだから。」
改正前から改正後に流れるパターン
例1)特48条の3 出願審査の請求 の趣旨
「従来、全ての出願について実体審査を行っていた。しかし、(1)審査に長期間を要し、権利化及び出願内容の公開に遅れが生じた。権利化が遅れることで出願人には第三者の模倣、権利の有名無実化という不利益を与え、公開の遅れは第三者に重複研究・重複投資という不利益を与えていた。(2)他者に権利を取得されることを防ぐ防衛的出願や方針変更により権利取得の意思がなくなる出願も多かった。そこで審査の遅れを除去し、真に権利化を希望する出願のみを審査するために出願審査の請求制度を導入した。」
例2)特46条の2 登録に基づく特許出願 の趣旨
「従来、元の出願が特許庁に係属している場合に限り、実用新案登録出願から特許出願に変更することが可能であった。しかし、出願から実用新案権の設定登録を受けるまでの期間が短いため出願変更の機会が制限されていた。審査を経た安定性の高い権利を取得したい場合、長期の存続期間が確保されるようにしたい場合に特許権の設定が困難となる。そこで登録に基づく特許出願を導入した。」
他にも自分でパターン化できるものがないか意識して読んでみてください!
趣旨の重要なキーワードを覚える
大きなストーリーを把握できたとしても、文章全体を暗記することは難しいですよね。そこで重要なキーワードだけを暗記しておいて、そのキーワードから大きなストーリーの流れを再現できるようにしておきます。
例えば、特37条(発明の単一性)の趣旨
「相互に技術的に密接に関連した発明について、それらを1つの願書で出願できるものとすれば、(1)出願人にとって、出願手続の簡単化・合理化、(2)第三者にとって、特許情報の利用や権利の取引の容易化、(3)特許庁にとって効率的な審査を行える。」
を暗記する際には、「技術的に密接に関連」・「出願人」・「第三者」・「特許庁」という4つのキーワードのみを暗記しておけば上記文章をある程度再現できるのではないでしょうか?
「出願人」・「第三者」・「特許庁」という3つの立場で記載する必要があるということがわかれば、それぞれのメリットの言葉までは覚えておかなくても想像できますよね。
拒絶理由/無効理由を有するか結論付けよ
拒絶理由/無効理由を有するかを問う問題は、例えば令和3年度の【問題Ⅰ】1(1)(2)が該当します。
出願Cが審査に付された場合に、出願Cの特許請求の範囲に記載された発明イが乙に
令和3年度弁理士試験論文式筆記試験問題
よる出願Dとの関係において拒絶理由を有するかについて、関連する特許法上の根拠条文の規定を必要な範囲で引用した上で、設問の事実をあてはめて結論付けよ。
このような問題では、拒絶理由の根拠となる条文を1つずつ確認し要件を満たすかどうかを確認しなければなりません。要件は法文集に記載されているので、暗記すべきは拒絶理由の根拠となる条文がどれかです。
拒絶理由を有しないと解答するためにはもちろん全ての条文を確認して要件を満たさないことを確認しないといけないですし、拒絶理由を有するとする場合であっても、複数の拒絶理由があるのであれば複数根拠をあげる必要があります。
つまり全ての根拠条文を漏れなく確認することが必要なのです。
私は下記のように整理して暗記していました。
注記忘れてましたが、ブログに載せる私が使っていたノートの写真、中身そのまま使わないでください〜!🥹私の受験時から法改正されてる箇所や、私自身間違えてる箇所もあるかもなので🙇♀️
— OLさくら🌸弁理士試験一発合格ブログ (@sakura_benrishi) January 10, 2023
字も汚いので使う人いないと思いますが念のため🤪
あくまでまとめ方の参考にしてほしい意図で載せてます🫶
このように整理して暗記しておくことで、試験中に問題文と照らし合わせながら全ての拒絶理由について漏れなく検討することができました。
手続を説明せよ
「手続きを説明せよ」の問題は、例えば令和4年度の【問題Ⅰ】1が該当します。
この状況において、甲は、特許出願Bの公開後に、外国語特許出願Aの他に日本国に
令和4年度弁理士試験論文式筆記試験問題
特許出願Cをし、外国語特許出願A及び特許出願Cのみにより、発明イ、ロ及びハのすべてについて日本国において特許権を取得することを考えている(なお、現在は令和4年7月3日とする)。この場合、甲が、外国語特許出願A及び特許出願Cについてすべき手続、優先権の種類及び効果に言及しつつ、説明せよ。
手続を説明する問題では、法文集に記載された根拠条文を、手続きに沿って順番に書いていくだけです。そのため、手続問題対策としての暗記はそれほど必要ありません。
しかし、暗記が必要なく答えが法文集に記載されている分、他の受験生も点数を落としづらい問題だと考えられます。
趣旨を問う問題や、論ぜよ系の問題は、単独の条文や判例が根拠になることもありますが、手続系の問題では複数の条文を根拠に漏れなく解答する必要があります。
手続き全体の流れ(例えば、異議申立や無効審判)、提出すべき書類(外国語特許出願や優先権主張)についてどこの条文に記載されているかを整理して暗記しておくことで漏れなく解答することにつながります。
いかなる対応をすることが考えられるか、論ぜよ/説明せよ
「論ぜよ/説明せよ」系の問題としては例えば令和4年度の【問題Ⅱ】2(1)が該当します。
丁による損害賠償請求は認められるか、その可否を論ぜよ。特許権Pに無効理由はな
令和4年度弁理士試験論文式筆記試験問題
いものとする。
このような問題は主に侵害系の問題で出題されます。あらかじめ自分の書きやすい「型」を作成して暗記おけばそれに沿って問題文のキーワードを当てはめていくだけです。
この型を持っていれば、論文試験の大問2はほぼ解けます…!勉強を始めた時は信じられませんでしたが驚くほど簡単ですよね。
私は下記のような「型」を作成してノートに整理し暗記していました。
弁理士試験 論文試験対策の具体的なスケジュール
論文試験対策でもインプット(暗記)が重要であることを理解いただいたところで、具体的にどのように勉強を進めるのがよいか紹介します。
暗記が重要である以上、短答試験と同じく「アウトプット→インプット勉強法」で試験本番に知識のピークを持っていく作戦が有効と考えているため、この勉強法を前提にスケジュールを立てています。
論文試験対策にフォーカスしてどのように勉強を進めるべきか解説します。短答試験と合わせたスケジュールの全体像についてはこちらの記事をご覧ください♥
短答試験対策と論文試験対策を両立するスケジュールの考え方
論文試験対策のスケジュールを考える上で、受験生の悩みになるのが短答試験との両立だと思います。
短答試験前から少しは論文試験対策をしておいた方がいいのか、それとも短答試験前は短答試験にだけに集中した方がいいのか…
結論から言うと、
・短答試験前から論文試験の問題を自力で解けるレベルになっている必要は全くない!
・でも短答試験前から予備校の論文試験対策の講義も受けておくのが好ましい
です!!
短答試験は条文の正確な理解と記憶が問われ、論文試験では条文を事例に当てはめて使いこなす力が問われるという違いはありますが、どちらも「条文力」が問われる点は共通しています。
過去には、短答試験と論文試験で出題されやすい条文・判例の傾向に偏りがあったそうですが、この頃はその溝も埋まってきているようです。
私は短答試験と論文試験は、理解しておく必要のある知識は共通していて、必要な暗記の深さが異なるだけだと考えています。
つまり、短答試験の場合は問題の枝が記憶を引き出す「ガイド」の役割となるため、正しいか間違っているかを判断できる程度の暗記の深さで十分であるのに対し、
論文試験ではそれがないので自力でキーワードを引き出して文章にできる程度に深く暗記しなければならないということです。
そのため、論文試験対策において、短答試験対策と両立の観点で重要なことは下記の2点だです。
- 短答試験前は、論文・口述試験にも必要な知識を理解しておく
- 短答試験終了後は、論文試験に特化した徹底的な暗記に時間を割く
短答試験と論文試験は、必要な知識の内容に大きな違いがないにもかかわらず、予備校の講義は短答試験対策と論文試験対策とで、便宜上、講義が分かれているのです…
予備校の「論文試験対策講座」には論文試験で出題傾向の高い、条文の言葉の定義や判例の解説などが含まれます。
これらは短答試験と比較すると論文試験での出題率が高いものの、短答試験でも問われる可能性が十分ある論点ではあるため、短答試験受験前に整理して理解することが好ましいです。
つまり、短答試験前の段階では、論文試験は「解けない」けど「解答を読めば理解できる」レベルになっておくのが良いと考えています。それのレベルに到達することで、短答試験の合格可能性も高まり、短答合格後にスムーズに論文試験対策に移行できます。
だから私は、短答試験前から予備校の論文試験対策の講義も受けておくのが好ましいと思うのです!
▼短答免除ではなく一発合格をおすすめする理由
論文試験対策スケジュール前半(短答試験前まで)
予備校の論文試験対策の講義を受ける
短答試験前には、論文・口述試験にも必要な知識を理解しておくことが重要です。
短答試験前に、予備校の体系軸の講義・逐条軸の講義を受講し、自分なりに理解して整理する作業を行います。
目安として短答試験を受験する年の1月からは短答試験に特化した問題演習・暗記に集中するのが理想なので、論文試験にも通じる部分の勉強は12月末までに終えておきたいです。
具体的には、予備校の論文試験対策講義を受講します。論文試験対策講義には、問題演習・解説の講義が含まれることが多いですが、それらは短答試験後に受けることでよいです。
基本的な答案構成・解答の「型」に関する講義や、条文ごとに論文で頻出の論点を解説する講義のみ、短答試験前に受けます。
答練や過去問解説の講義は短答試験前に受ける必要はありません。
例えば初学者の方であればLEC「1年合格ベーシックコース」では、論文基礎力完成講座のうち「講義編」が該当します。「答練編」は短答試験後に受講しましょう。
また、学習者の方向けでおすすめなのはLEC納富先生の「年度別論文過去問」です。
LECの納富先生は上述の「型」に基づいて論文の書き方を指導してくれるためです。
こちらの記事で紹介しているのでご覧ください♥
自分専用まとめノートに追記する
予備校の講義を受けたうえで自分専用まとめノート①②に追記していきます。
▼まとめノート①②についてはこちらの記事で解説しています。
このとき、講義で出てきた論文試験の解答の型を自分の書きやすい形にアレンジした「型」をまとめノート①に追加します。
例えば、下記のような形です。
論文試験対策スケジュール後半(短答試験終了後)
短答試験受験後、自己採点で短答試験に合格している可能性があるとわかったら、次の日からすぐに論文試験に取り掛かりましょう!
過去問・答練を解く
短答試験までに整理したまとめノート①②と法文集を見ながら、実際の論文試験と同じ形式の問題を解き、本試験に太刀打ちできるように知識がノートに整理されているかを確認します。
例えばLEC「1年合格ベーシックコース」を受講されている方は、論文基礎力完成講座のうち「答練編」を解きます。
過去問を解く場合は、LEC「年度別論文過去問」を使うのがよいです。こちらは、各年度ごとの「答案例」と「答案構成」、さらにLEC講師陣作成の「講師参考答案」まで掲載されています。これは論文基礎力完成講座のテキストにはないポイントです。2つの答案例を対比することで、より得点の高い答案が作成できるようになるので、論文試験の解答をブラッシュアップしたい方におすすめです。
どうせ過去問を解くなら、得点ポイントについて詳しい解説がある教材がいいですね!
論文試験の問題文には、解答で記載すべき根拠条文へつながるヒントキーワードがちりばめられています。
例えば、特許法の設問で「特許出願前に論文発表が行われ、…」と来れば、「特30条 新規性喪失の例外が関係するぞ!」とか、意匠法の設問で「知られたくないと考えたため、…」と来れば「意14条第2項 秘密意匠に関係するぞ!」とか…
これを見落とさずに拾い、瞬時に条文を思いつけるようになっていれば、上記した「論文本試験に太刀打ちできるように知識が整理された」状態であると言えます。
短答試験突破してすぐの方であれば、このくらい知識が整理されてる状態だと思います!
また私は、論文答練や過去問の解答は必ずしも採点してもらう必要はないと考えています。前述した通りキーワードが抑えられているかが採点のポイントになるため、そのことを理解できていれば自己採点でも大きくぶれることはないと考えられるからです。
全ての答練や過去問で、採点してもらえるレベルの全文書きの答案を作成するのは時間が足りなすぎます。全文書きするのは各科目5回分程度にして、残りは答案構成プラスα(箇条書き程度)で答案の重要なポイントのみ記載するのが良いと思います。
とはいえ、採点も予備校の講座の費用の中に含まれている場合は、せっかくなので全文書きした答案は送って採点してもらいましょう。
書き方の癖や、字の丁寧さなどについては客観的に確認してもらっておくのも安心です。
私は時間を測って解いてた時は、これくらい汚い文字で書いていました。(恥ずかしい…)
まとめノートをアップデートする
不足している部分があればまとめノート①②に追記します。
ここで、自分専用まとめノート①②は主に短答試験の問題を解けるように整理しているため、論文試験の問題を解けるようになるためには違う観点での整理が必要になってくることを実感すると思います。
具体的には条文に出てくる言葉の定義や判例の射程などを問題文のキーワードから関連付けて引き出せるような整理の仕方が必要になります。
私は短答試験前から、自分専用まとめノート②(逐条軸)はキーワードを抑える形でまとめていました。詳しくは下記の記事をご覧ください。
それをさらにアップデートする形で下記のような1行質問に対して重要なキーワード→文章の形で頻出の論点をまとめて暗記しやすくしました。
まずピンクの文字のキーワードがすぐ出てくるレベルに暗記できているかを確認し、次にピンクのキーワードから全文が大体再現できるかを確認する、という使い方がしやすいまとめ方です。
まとめノートを暗記する
あとはひたすら自分専用まとめノート①②を暗記します。
ここまで何度もお伝えしてきた通り、論文試験もインプット(暗記)が重要な試験です。なのでこの直前期にアウトプット(答練・過去問演習)に時間をかけすぎることはしないように気を付けてください。
まとめノートをつくることで、これを暗記するのに大体どれくらいかかるかが可視化できるので短答試験後、論文試験までの短期間でも逆算のスケジュールを立てやすいと思います。
暗記に割ける時間が足りなくなりそう、と思ったら購入した答練が残っていてもったいない…と思っても切り上げて暗記作業を開始する勇気が重要です!
直前に答練や模試を受験する
直前に、2回ほど模試を受けることで、本試験の時間配分を掴みます。
弁理士試験 論文試験対策まとめ
論文試験も短答試験と同じくアウトプットよりもインプットが重要です!設問パターンごとの結論の導き方、条文や判例ごとに落としてはいけない加点ポイントに絞って勉強し、暗記していきましょう!
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さくら🌸