このブログは、知識ゼロの特許初心者だった私が、OLとしてフルタイムで働きながら弁理士試験に一発合格した経験をもとに書いています!!
下三法は短答試験でしか出題されないから、あまり時間をかけすぎずに対策したいんですが…足切りが怖いのでどこまで勉強すればいいかわかりません…
今回は下三法の勉強法を具体的に説明します♥
- 下三法の具体的な勉強法のポイント
- 各科目で重点を置くべき頻出テーマ
- 下三法の勉強スケジュール
この記事を読むことで、弁理士試験において効率よく勉強する必要のある下三法の具体的な勉強法がわかり、最低限の努力で足切りを回避できるはずです。
弁理士試験の下三法とは?
弁理士試験の下三法とは、条約・著作権法・不正競争防止法の3つのことを言います。
逆に上四法とは、特許法・実用新案法・意匠法・商標法の4つのことを指します。
上四法とは異なり、下三法は基本的に短答試験でのみ出題範囲になっています。(※条約は論文試験において上四法に関連して出題される可能性があります。)
論文試験・口述試験の試験範囲にもなっている上四法に注力したいところですが、短答試験の合格基準には、全体で65%以上という基準に加えて、各科目で最低40%以上という足切りラインもあるため、下三法も油断はできません。
そのため、下三法の勉強では上四法に比べて効率よく勉強することが求められます。
弁理士試験の試験概要が知りたい方は下記の記事をご覧ください♥
弁理士試験下三法 勉強法のポイント
前述したように、下三法はできるだけ時間をかけずに短答試験の足切りを回避できるレベルに到達したい科目です。
独学ではまず難しいので予備校の初学者向け講座を受講しましょう。
各社予備校・通信講座の初学者向け講座の選び方は下記の記事をご覧ください。
予備校の初学者向け講座を受講する前提で、さらに重要なポイントを2つお伝えします。
ポイント①:頻出箇所に絞って勉強する
上四法の場合は予備校のテキストやレジュメに載っていることは全て暗記するつもりで取り組むべきだと考えています。
それは上四法の場合、短答から口述まで全ての試験範囲となっているため様々な角度からの出題が予測され、理解の深さが点数に反映されやすい科目だからです。
それに対して下三法は短答試験で足切りを回避できるレベルにさえ到達できればよく、いかに下三法を効率よく勉強して上四法に割ける時間を確保するかの方が重要です。
次の章で、各科目の頻出テーマを紹介しますので、メリハリをつけて勉強を進めることを意識してください。
ポイント②:短答試験直前に追い込むスケジュール
下三法の勉強は暗記作業が主になるので、短答試験直前に追い込む形でスケジュールを立てるのが良いです。
ここでは、下三法の勉強スケジュールの立て方一例を紹介しますが、上四法の勉強の進み具合などは人それぞれだと思うので、参考程度にして個別にアレンジしてみてください。
下記記事の「アウトプット→インプット勉強法」に基づいて解説しますので、まだ読まれていない方は是非一読お願いします♥
12月末までに自分専用まとめノート①(体系軸)を作る
短答試験に特化した勉強を始める時期は人によって多少前後するかもしれませんが、だいたい受験年の1月くらいからだと思います。
それ以降の短答試験直前期には暗記に集中するために、12月末までには、予備校の体系軸の講座(例:LECの「1年合格ベーシックコース」の「入門講座 講義編)を受講し、自分専用まとめノート①(体系軸)を作るところまで済ませておきましょう。
ただし、上四法の逐条軸の講座を受ける期間も考慮するともっと早く、8月末までに終えているのが好ましいです。
2月中旬までに自分専用まとめノート②(逐条軸)を作る
遅くても2月前半くらいまでには、予備校の逐条軸の講座(例:LECの「1年合格ベーシックコース」の「短答基礎力完成講座 講義編」)も受講が終わると思います。
逐条軸の講義を受けながら、自分専用まとめノート②(逐条軸)を作っていきましょう。
自分専用まとめノート②(逐条軸)は、法文集で代用するのがラクです。私はPATECH企画出版部の四法対照法文集を購入して、書き込んでまとめていました。
この法文集には下三法も掲載されており、上四法と1冊で持ち歩けるので便利です!
3月末までに過去問・予想問題を解いて自分専用まとめノートをアップデート
自分専用まとめノート①②ができたら、それを見ながら過去問・予想問題を解きます。
私は答え合わせの際、1問1問、出題箇所に関連する条文や単語を確認し、法文集にマーカーしていきました。
この作業は上四法の時には行いませんでしたが、下三法についてのみ行っていました。
その理由は、下三法は上四法と比べて頻出条文が限られているので、暗記するときに軽重をつけるためです。科目ごとの重点テーマは次の章で紹介しますが、その中でも特に頻出の条文は徹底的に繰り返して暗記したくてこの作業を行いました。
この問題を解いて自分専用まとめノート①②をアップデートする作業を3月末までに終わらせます。
短答試験までに自分専用まとめノートを完璧に暗記
直前の約1か月で自分専用まとめノート①②を暗記します。問題を解く時にマーカーした条文は特に意識して繰り返し記憶を定着させます。
私は短答試験まで数週間と迫ってからは、下三法のまとめノート①②をひたすら読み直していました。1日1科目と決めて3周ずつ読み直すことを目標にしていました。
弁理士試験下三法 科目ごとの重点テーマ・具体的勉強法
それでは、科目ごとに重点を置いて勉強するべきテーマと、実際に私が行っていた具体的な勉強法・ノートのまとめ方の一例を紹介します。
このテーマ選定は、LECの「1年合格ベーシックコース」の講義内容と、LECの宮口先生が書かれた「働きながら一発合格! 弁理士試験究極の攻略法」の内容を参考にしています。
私自身、受験生時代にこの本を読んで共感し、掲載されている勉強法を多く取り入れたところ、本当に”働きながら一発合格”できました。なのでこの本は私にとってのバイブルです!
この本では、各テーマが頻出である背景や具体的な勉強法も解説されていますので気になった方は是非読んでみてください。
宮口先生の得意な語呂合わせものっているので暗記の手助けにもなる1冊です。
条約
条約の分野では、特許法184条、パリ条約、TRIPs、PCT、国願法から出題される傾向が高いのでここに絞って勉強します。
それぞれについて紹介します。
パリ条約
パリ条約は30条までありますが、11条までしかほとんど出題されません。11条までを完璧にしましょう。
最初に全体像を捉えてから詳細を暗記するために、私は条文の見出しを書き出しました。これによって、どの条文に何が規定されているかが一覧でわかります。
また、各条文がどの工業所有権法に関連するのかを問われることもあるのでそれも記入していました(写真ではオレンジで記入しています。)
パリ条約について、自分専用まとめノート①(体系軸)は下の写真のような形でまとめていましたが、見開き7ページくらいで書ききれました。
注記忘れてましたが、ブログに載せる私が使っていたノートの写真、中身そのまま使わないでください〜!🥹私の受験時から法改正されてる箇所や、私自身間違えてる箇所もあるかもなので🙇♀️
— OLさくら🌸弁理士試験一発合格ブログ (@sakura_benrishi) January 10, 2023
字も汚いので使う人いないと思いますが念のため🤪
あくまでまとめ方の参考にしてほしい意図で載せてます🫶
パリ条約は条文数も少なく報われやすい試験範囲です。特に1条~4条の2の三大原則は頻出ですので他の受験生の正答率も高いはずです。本試験では必ず得点できるように完璧に暗記しましょう。
TRIPs
TRIPsは73条までありますが、第1部~第4部のみ(62条まで)を抑えることで十分です。
また、その中でも下記の部分は出題率が低いので優先度を下げてよいと思います。
- 第2部 第1節 著作権及び関連する権利(第9条~第14条)
- 第2部 第6節 集積回路の回路配置(第35条~第38条)
予備校の講義でもこの辺りはさらっと流される部分かと思います。
ちなみに、予備校の授業ではパリ条約の次にPCT条約が来るケースが多いですが、パリ条約とTRIPsは続けて勉強するのがおすすめです。
TRIPs協定の意義として、知的財産権に関する既存の条約(パリ条約、ベルヌ条約等)の遵守を義務づけた上でさらなる保護の強化を規定するパリプラスアプローチがあるため、関連させて勉強すると理解しやすいからです。
もちろんPCTもパリ条約の特別取り決めであり、パリ条約とPCTにも関連はあります。でもPCTは手続を規定していますのでパリ条約やTRIPsとは性質が違いますね。
PCT
PCTは68条まであり、その上規則まで出題されるやっかいな科目です。私自身、受験生時代に一番苦しめられた科目です。
PCTは手続きを規定している法律ですので、登場人物と全体の流れをまず大きく把握してから細かい要件を暗記していくのが効率的です。
私は、PCTは「7人の登場人物が5つのフェーズの手続を行う」ことを規定していると理解し、整理しました。
7人の登場人物は、
- 出願人
- 受理官庁
- 国際事務局
- 調査機関
- 国際予備審査機関
- 指定国
- 選択国
5つのフェーズは、
- 国際出願
- 国際調査
- 国際公開
- 国際予備審査報告
- 国内移行段階
これを意識して最初にフロー図を自作してみました。
このフロー図を自作する作業自体が、頭の整理になりますので是非みなさんも自分でわかりやすいようにフローを作ってみてはいかがでしょうか。
最初にこの手間を1つするだけで、この後詳細な規定を暗記していく際にも、ぐっと頭に入りやすくなります!
全体像を掴んだ後は、予備校のテキストやレジュメにのっている部分をしっかり暗記していけば大丈夫??
私自身はそれだけでは、模試で足切り回避できませんでした…
前述したように、PCTは条文だけでなく膨大な範囲の規則からも出題されるため、初学者向け講座の講義内容だけでは正直カバーしきれないと思います。
そこで私は、LECの年末年始道場「PCTと規則全体をエッセンスで学習する特訓道場」を受講しました。
PCTの規則については、細部に関して高い精度での記憶が要求されるわけではなく、規則が意味するところを、ざっくりと理解すれば比較的容易に正答できます。
この講座は上記特質に着目して、全体像と重要部分(エッセンス)のみが濃縮されたものとなっています。そのため、短時間で必要十分な知識を身に着けるのにとっても役立ちました。
受講料は、通信/通学の選択によって変化しますが、16,000円~19,000円と破格ですので、PCTの得点が伸びず悩んでいるなら思い切って申し込んで解決しましょう!
国願法
国願法はPCTと対応させて勉強するのが効率的です。私は下の写真のように対応関係を一覧化していました。
覚えにくいところは青本(工業所有権法逐条解説)を参照して、背景を理解することで暗記しやすくなりました。
青本は受験生必携!と言われていますが、私は購入していませんでした。特許庁の”工業所有権法(産業財産権法)逐条解説”のページから必要部分のみダウンロードして勉強していました。
著作権法
著作権法は124条もあるため、勉強してもなかなか努力が報われないこともあり、根気のいる科目です。
モチベーションを保つためにも、頻出のテーマに絞って勉強するのが良いと思います。勉強していないテーマから出題されることももちろんありますが、それは仕方ないと割り切ることも必要です。
著作権法は、宮口先生の本にならって、下記のテーマだけ集中的に暗記しました。これだけでもすごいボリュームでしたが…。
- 定義(2条)
- 著作物の例示(10条)
- 著作者人格権(18条~20条)
- 著作権(21条~28条)
- 著作権の制限(30条~49条)
- 著作隣接権(89条~90条)
不正競争防止法
不正競争防止法は40条までで、著作権法と比較すると暗記量が少ない科目です。しかも毎年出題されやすい条文が決まっているので対策も容易で努力が報われやすいです。
- 2条1項 不正競争行為の定義
- 19条 適用除外
上記2つの頻出テーマについて、まずは見出しを覚えた後、適用要件を詳細に覚えるのが効率的です。
私は下記のように見出しをまとめていました。
弁理士試験下三法の勉強法まとめ
下三法の勉強は、完璧主義の方には辛い部分もありますが、いかに下三法を効率よく勉強して上四法に割ける時間を確保するかの方が重要です。
私も中途半端は嫌なタチですので、ヤマをはるのは抵抗があるのは理解できるのですが、捨てるテーマを作ることも一発合格するためには必要です。
割り切って一発合格のために効率的に勉強を進めましょう!
上四法の勉強法はこちらの記事から♥
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さくら🌸